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HP上で私が書いて行く内容は、年代別に順を追ってお話をするわけではないので、判りづらいところも多々あると思います。少しでも全体の流れをご理解しやすいように、当時の最上級コンポ「シュパーブ」に焦点をあて、時代を区分してみました。これより以前の70年代前期さらにそれ以前の時代については、私もまだ入社しておらず、話の種になるような話題も自分自身ほとんどありません。このへんをご理解頂いて、このコーナーを読んでいただければ、幸いです。


サンツアーストーリー

 

第2話 「シュパーブの誕生」


「SUNTOUR SUPERBE」(サンツアー シュパーブ)は今をさかのぼる1977年に誕生しました。当時のレーシングパーツの最上級モデルとしては、「サイクロン」がありました。対するシマノには「デユラエース」のシリーズが有り、変速機の名称だけは「CRANE」(クレーン)と名づけられていました。
当時、ヨーロッパのレースシーンでは、カンパニョロ、サンプレックス、ユーレ等のメーカーがまだまだ巾をきかせていました。その中に参入していく事はサンツアー、シマノにとって大きな意味がありました。単に商品を売ると言う事ではなく、実際のレースシーンで使用されることによって、多くの情報がフィードバックされてきます。強度、耐久性といったハード面の情報やアフターケアー、メーカーのイメージ戦略といったソフト面にいたるまで、幅広い情報の収集が可能になります。
いわば自動車メーカーがF1に参戦するのと同じ狙いが、そこにあります。
サンツアー、シマノなど国内メーカーが、そこそこの実力をつけてきていて、世界戦略を模索しだしたのが、この時期です。
 
 話をもどします。1977年に発表された「シュパーブ」ですが、最初のつまずきはフロント変速機でした。写真の最初期モデルは実は二番目の改良モデルです。最初に欧米向カタログに発表されたものはガード(羽根)部はアルミ製でした。この型はガードにクラック(ひびわれ)が発生し、使い物になりませんでした。少量出荷されていたこの型はすぐに回収され、急遽、鉄製のガードになった写真のモデルに代わりました。
〈写真A〉は後変速機の最初期モデルのブラックバージョン品です。一般小売はされておらず、完成車メーカーへのOE向け(完成車メーカーへの特別仕様)です。
〈写真B,C〉は私が個人的に改造したツーリング用メカです。ガードをそれぞれ「サンツアーVX」「サンツアーサイクロンGT」のものにつけかえたキャパシテイーアップバージョンです。当時シュパーブは純粋なレーシングコンポでワイドキャパシテイーのものはありませんでした。もちろん、この仕様は市場に出回っていません。
シマノには上述の「クレーン」にワイドモデルがありましたが、後に「デユラエース」名のコンポになってからワイドレシオ仕様はなくなります。
現在、シマノもカンパもフロントトリプル仕様用にワイド仕様が復活していますね。
歴史は繰り返すということでしょうか。いや、それだけロードレーサーと言う自転車が一般ユーザーにまで幅広く広がったということでしょう。

1977年以後、サンツアーはシマノ、カンパをまきこんで果てしなき新製品開発競争へと突入していきます。今回はここまでといたします。


















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