第5話 「貴重な体験 その1」
「雨天時のチューブラータイヤ交換について」
今回の能登ツーリングは雨にたたられました。朝からしとしとと冷たい雨の中、ロードレーサーは水しぶきを上げながら、疾走します。一時間以上走ったでしょうか、のぼりの途中で、仲間の一人が「後輪がおかしい?」と言い出し、良く見るとチューブラータイヤがホイールからずれて、バルブのあたりでこぶのようにタイヤが凸凹になっていました。
暑い時期、長い下りでブレーキングを続けると制動熱で接着剤が溶けて同じような現象になります。割とよくある事なのですが、この寒い時期になぜ?まして、上りで?
原因は「雨」でした!
この人、2〜3週間前の朝の練習でパンクの際、チューブ入りリムセメントで交換タイヤを張りなおしたのですが、ずっとそのままで今回のツーリングに参加しました。現場でチューブ入りの接着剤を塗る場合、チューブから搾り出しながら塗る為、どうしても均一に塗れず、接着剤が付いている所と、付いていない所とができてしまいます。通常の天気ならば、問題なかったのでしょうが、今回は雨が降りっぱなしの中、この接着剤の塗れていない場所へ雨水がしみ込み、接着剤の効いているところまでも浸透し、結果全体の接着力が低下したようです。
リムの接着面の水分をとって、その場で新しいタイヤを張りなおして、再び走り出しますが、やがて又タイヤがずれてしまいました。雨宿りをしながら、再度チャレンジしますが、小一時間も走るとまたぞろ、同じようにずれてしまいます。ホイールからタイヤを剥がすと「ヌメ!」という感じで簡単に取れてしまいます。
チューブラータイヤは濡れると接着剤が効かないことは判っていたので、スペアータイヤは絶対に濡れないようにと申し合わせをしていたのですが、それでも今回は対処できませんでした。もちろん携帯用のチューブ入り接着剤は速乾性で、通常の缶入り製のものより強力なはずなのにどうして?
原因は、接着剤の乾燥を待たずに雨の中、すぐ再スタートした為でした。
チューブラータイヤの接着面は布コードを編みこんでいるため、雨水がしみ込みやすい性質があります。そのため、接着剤が乾きだす前に水分が入り込み接着効果を無くしてしまっていたのです。
今回は良い勉強をさせてもらいました。長年、自転車で飯を食ってきたにも関わらず、まだまだ、無知な点が多い事を思い知らされました。
ここで判った事が2つあります。皆さんも参考にして頂ければ、幸いです。
- パンクで応急処置したチューブラータイヤは、必ず張り替えておく事。面倒でもはけできれいにリムセメントを塗りなおして張り替えましょう!
- 雨の中でパンクした場合、張り替えたタイヤは小一時間待ってから、走行するようにしましょう! 時間的にあせる場合もありますが、じっと我慢の子で、接着強度が上がるまで、雨宿りの一手です!