自転車のメカニズムに興味がある方なら、大抵ご存知だと思いますが、変速機に用いられている機構は「パンタグラフ機構」と呼ばれる物です。電車などの屋根についている例の電線から電気をとるあのアンテナが代表的です。これは平行四辺形の対辺は辺がどんなに動いても常にお互い平行であるという原理を応用した物です。(「そんな事は知ってるワイ!」と怒らないで下さい。一応前説ですので・・・)
サンツアーがヨーロッパの変速機に対して一線を画すべく開発した横型の「スラントパンタグラフ機構」。
これを採用したあたりから(相当昔ですが・・・)サンツアーのパンタグラフの「支点間距離」つまりパンタグラフのピボット間の長さは内側と外側で僅か違っていました。
これは、変速機の小さな歯車(プーリーと呼ばれています)の向きを、後ギヤのトップ位置(一番外側)とロー位置(一番内側)とで僅か変化させる役割があります。そうする事によって斜めになった状態のチェーンに対して自然でもありますし、不快な音鳴りやプーリーの磨耗度合いも大幅に減少できます。
通常パンタグラフを形成する平行四辺形の対辺同士の長さは同じなのが常識です。
現に当時のヨーロッパのメーカーの変速機は全て完全平行パンタグラフでした。(これは変速機のタイプが縦型であった事にもよりますが・・・)
サンツアーのこの考え方はちょうど自動車のドライバーズ シートが僅か中心よりに傾いて取り付けられているのと似ています。やがて「シマノ」の変速機も(何時ごろからかは定かではありませんが・・・)この「不平行パンタグラフ」になってきます。
当時は5〜7速の時代で、この支点間距離の差はは0.5mmでした。現在の8〜10速の時代でもこの値はあまり変わって無いようです。
後に述べてゆく予定の「スラントパンタグラフ機構」と共にこの考え方は、現在でももはや「スタンダード」として「当たり前」、「常識」の範疇になっているようです。